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冬場、特にご高齢者に注意が必要と言われている「ヒートショック」。
たまふれあいグループの診療科医師、片栁創先生にお話をうかがいました。
暖かい部屋から寒い部屋への移動などの急激な温度変化により、急激に血圧が上下することで、心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気が起こることを言います。65歳以上の方に起こりやすく、浴室での報告が多発しています。
暖かいリビングから寒い脱衣所へ移動すると血圧が上昇し、体が冷え切った状態から熱いお湯につかると血圧が低下します。そして、体が温まった状態で寒い脱衣所に戻ると、また血圧が上昇します。こうした血圧の変動により、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなります。
高血圧や糖尿病を持っている人、または肥満や不整脈、睡眠時無呼吸症候群を抱えている人が特に注意が必要です。
最もヒートショックが起きやすい、入浴時における予防方法をお伝えします。
高齢者や血管機能に問題がある方は、浴室内の温度が低い状態のままの冬の一番風呂は避けましょう。一人暮らしの場合は、室内の温度が急激に下がる日没後を避け、日中や日没前に入浴するのが適切です。
また、食後は血流が胃に集中し血圧が低下しやすくなるため、夕食後よりも夕食前に入浴するようにしましょう。
1)浴室や脱衣所を湯はり時に温めておくこと
2)湯温設定は41℃以下にする。42℃以上は心臓に負担がかかる
3)入浴前に水分を取る(熱中症などの予防のため)
4)かけ湯で手や足を温めてから入り、湯船には首までつからない
5)お湯につかるのは10分以内にする。42℃で10分つかると、体温は38℃となり高体温による意識障害となる可能性がある
6)浴槽から急に立ち上がらず、ゆっくりと上がる
余談ですが、ヒートショック・プロテインという抗ストレス作用のある食品成分があります。これは自律神経のバランスが整い、ストレスが軽減するために眠りを改善すると言われています。
入浴で40℃の湯に20分つかるとヒートショック・プロテインが増えることが確認されていますが、このことはヒートショックの予防と相反してしまいます。
日本気象協会の「ヒートショック予報」(https://tenki.jp/heatshock/)や、企業協働によるリスク回避を推進する「STOP!ヒートショック」(https://heatshock.jp/)といったインターネットの情報も参考に、予防への意識づけをしてみてはいかがでしょうか。