「集団美」ではない「個人美」の追求

「集団美」ではない「個人美」の追求

人間は集団が一糸乱れぬ行動をすることに美しさを感じます。シンクロナイズドスイミングや新体操の団体演技などに感動しますし、ときには軍隊が一糸乱れぬ行進をするのを見ると勇ましさを感じます。一方で、サッカーなどはチームワークも大切ですが、ときには個人技でドリブルをして敵陣突破しゴールを決められる力も求められます。

ADHDという発達障害があります。日本語で言うと注意欠如多動性障害。字だけを見ると集中できずにウロウロしてしまうというような印象を受けますね。でも実はこの障害の方は、全く物事に集中することができないのではなく、自分の興味のあるものとないものとでの注意や集中に差が出てしまうのです。また、自分の努力でその集中力を伸ばすと行ったことが苦手です。何かの作業をすると最初は集中できるものの、次第に注意力が低下してしまい、ときにアクビをしたり仕事の手が止まってしまうこともあります。

私たち就労支援では、こうしたADHDの方に集中力を高める訓練をしているのではありません。じつは、自分の集中力が低下したことをまわりに伝えられるようになることを目指します。ですから、たとえば作業中にアクビをしている様子があったら、「あと1時間でお昼ごはんだから頑張ろう!」というのではなく、「疲れた? 自分で限界だと思ったら言ってね。」と声がけをします。

一般的に日本の企業では特に一糸乱れぬ「集団美」を要求されがちです。でもサッカーのような「個人美」が美しいこともあります。もちろん個人美だけではなくチームワークも大切ですから、チームの中で個人の特性を活かして生活し、働いていけるように学んでいただくことを大切にしています。

(医師 鈴木 忠)